こんにちは、香華殿の神尾です。
しばらくご無沙汰していた「四国」シリーズですが、またぼちぼちさいかいしますよぉ~~・・・。
前回は杖についてお話しをしました。
今回は「竹笠」のお話し。
お遍路の際に大事なのは、いかに荷物を少なくして身軽に行動するかであると思います。
雨降る度に雨傘出したりしまったりしていたら面倒ですよね。
合羽という手もありますが、これも着たり脱いだり、濡れたものをどこにしまうよとなる可能性大です。
そんな時に便利なのが「竹笠」です。
日よけにも雨具にもなる使い勝手の良い竹笠なら、晴れた日も雨の日も使える優れものです。
帽子とは違ってお堂やお坊さんの前でとる必要はありません。
笠には以前ご紹介した「同行二人」の他に、仏教の宇宙観を表す「迷故三界城、悟故十方空、本来無東西、何処南北」と書かれています。
読み方は「迷うが故に三界( 欲界、色界、無色界 ) は城なり、悟るが故に十方は空なり、本来東も西もなく、いずこにか南北あらん。」
これは江戸時代に無着道忠 ( むちゃく どうちゅう ) 禅師が書いた小叢林清規( しょうそうりんしんぎ ) の中にある文言で、その当時は葬式の際に導師が棺桶の蓋に書いたものです。
ある人の解釈によると
「この世は迷いの世界で自分の思うようにはいかない。けれど悟りを求めて心身を浄めれば、さまざまなこだわりが消えて心が安らかになる。本来は東も西もなく、我々は宇宙の中の一点に過ぎない。南や北とかのこだわりを捨て、大らかに世の中を渡っていこう。」という意義らしいです。
遍路が旅の途中で死んだ場合には、この笠を遺体にかぶせることにより、「 棺桶 」 の代わりにするためと言い伝えられていました。
その文言を書いた竹笠をかぶり、白衣をまとった遍路の姿は、言うまでもなく 「 死に装束 」 そのものです。
遍路とは死者となって四国 ( 死国 ) の八十八ヶ所を巡り、そして再び生まれ替わる 擬死再生をする旅なのですね 。