10円玉

風邪を引いてしまいました。。。

電話に出るたびに「寝てたの?」と言われるくらいの鼻声、

香華殿恵庭斎場 河野です。

起きてます。

素晴らしい美声を聞きたい方は、お早目に河野までお電話ください。

以前、お客様から10円玉のことについてお電話で問い合わせ頂いたことがあります。

「つかぬ事をお伺いします、旦那の時に10円玉を棺の中へ入れたのですが、妹の旦那のときは入れませんでした。それは何故なんでしょうか。大丈夫なのでしょうか・・・」

との内容でした。

禅宗系のご宗派では、亡くなると仏弟子から仏になるべく旅に出ます。

しかし、すぐに仏弟子から仏になれるわけではなく、七日ごとに関所があり、

そこの関所を担当する仏様との面接に合格しなければ、先へ進むことが出来ないと言われています。

旅路に出られるように、お棺の中に編み笠や草鞋、杖を入れたり、

無事に面接を通過出来るように、日々お参りするわけですね。

で、10円玉ですが、

最初(初七日目)の関所で三途の川を渡ると言われています。

きっと大昔は歩いて渡ったのだと思いますが、江戸時代から渡舟で渡るのではないかと考えられるようになりました。

昔の船代は六文。

船賃として六文銭を入れていたことから、

今はない六文銭の代わりに、銅銭である10円玉を入れるようになったのです。

(*中国思想が織り交ぜられた仏式の考え)

お電話を頂いたお客様のお話を伺うと、妹様のご主人様は浄土真宗を信仰されておりました。

浄土真宗は、旅には出ません。仏様がお迎えにきて、仏様と共にご浄土へと向かうのです。

宗派の違いから、船賃はいらない、と、お入れしないお客様もいらっしゃいますが、

一度、亡くなった故人様が船賃として使い、使い終わった船賃は現世に戻ってくる、との謂れから、

今は焼き残った10円玉をお守りとして持ちたいとのご希望で入れられるご遺族様もいらっしゃいます。

お電話を頂いたお客様のご家族様も宗派は違えど、

念のため、仏衣に六文銭がプリントされた布きれをおつけしておりました(だいたいセットについてます)

「ああ、そうなのね!勉強になったし、よかったわ」とお電話をお切りになられました。

この間、よく会社のタオルを巻いて仕事をしていたという故人様をご担当させて頂きました。

そのよく巻かれていたというタオルで10円玉ケースをお作りしながら、その電話を思い出したのでした。

あのとき電話を受けたときも素晴らしい美声だったような……いつも美声か。

香華殿恵庭斎場 河野

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